「一生懸命プレーして、元気や感動を与えられるようになりたい」河本結

CALLAWAY STAFF PLAYER YUI KAWAMOTO
スタッフプレーヤーインタビュー 河本結

「一生懸命プレーして、元気や感動を与えられるようになりたい」

今年、ルーキーイヤーながらステップ・アップ・ツアーでいきなり賞金女王に君臨し、大学生プロとしても大きな話題となった河本結。11年前の原点を胸に、トッププレーヤーへの階段を駆け上がる。

 自宅には、上田桃子プロからもらったボールが、いくつあるかわからないくらい、たくさんある。最初にその姿を間近で見たのは、地元愛媛県松山市で行われた2007年「大王製紙エリエールレディスオープン」。上田プロが優勝し、この年、賞金女王にも輝いた。
「もともと母が桃子さんのファンで、私もこの試合を見にいって、『この舞台で活躍したい、女子プロゴルファーになりたい』と思ったんです。医療に関するドラマとかをよく観ていた影響で、お医者さんになることが夢だったのですが、このときに夢が変わりました」

 ゴルフが大好きな両親のもと、河本結は5歳からゴルフを始め、この2007年、9歳のときに新たな未来を頭のなかに思い描くようになった。ゴルフの試合に出はじめたのも、ちょうどこのころだ。
「人と競うのはもともと好きで、負けず嫌いでした。小学校のかけっこでも、男の子に全然負けませんでしたし、競うことで負けるということが本当に嫌いだったんです。ほかのスポーツもしていました。空手、サッカー、バレーボール、水泳。中学校では陸上部でした。ゴルフのために体力をつけようという思いもあって、走り回っていました」
 2012年四国中学校ゴルフ選手権春季大会に優勝し、その年には早くも、LPGAの試合(マンシングウェア東海クラシック)に出場。その後も四国女子アマチュアゴルフ選手権優勝、IMG世界ジュニアゴルフ選手権3位など、順調にゴルフの腕を磨いていき、ジュニアのなかで名の知れた存在の1人となっていった。
 高校卒業後、同学年の畑岡奈紗、勝みなみ、新垣比菜ら、いまメディアが“黄金世代”と名付ける選手たちの多くは、ごく自然な流れのようにプロの世界へと足を踏み入れていった。
 「夢には描いていましたけど、自分のなかでプロになるということが現実味を帯びたのは、ちょうどそのころですね。みんながプロテストを受けるようになって、『ああ、同学年の子たちがプロゴルファーか』と。だから、去年とか一昨年くらいですかね」
しかし、彼女は日本体育大学への進学という別の道を選んだ。

 「90年なのか100年なのかわからないですけど、自分が生きていく人生のなかで、もちろんゴルフも大切ですが、そのあとに何か人のためになるような、社会に貢献できるような人になりたいと思ったんです。ゴルフに関する体のこととか、知りたいことはいろいろありますし、それを学べるのは大きいですね。それと、大学の友だちからも教わることがたくさんあります。ハイレベルなところでやっている人が多くて、私のクラスはとくにすごいんです。パラリンピックの金メダリストとか、ラグビーの日本代表とか、8月に世界一になったサッカーのヤングなでしこの選手とか。世間から見たら、私なんて比較にならないです。ほかのスポーツでは、まったく違う考え方をしたりしていて、『ああ、そう考えるんだ』といったことも、よくあります。もう、学ぶことしかないです。だから、大学に進学して後悔は1ミリもないですし、本当に行って良かったなと思います」

賞金女王以上に、12戦で4勝できたことが自信になった

 ただ入学前から、1年後には大学生活と並行してプロの世界で戦うことを決めていた。2017年のQTに出場したがサードクォリファイで涙を呑み、レギュラーツアーの前半戦出場権獲得はならなかった。だが、すぐさま2018年の目標を、ステップ・アップ・ツアー賞金女王に見定めた。第1戦、第2戦でトップ10に入る順調な滑り出しを見せ、6月には初優勝。しかし、本格的な爆発はこのあとだった。大きな要因となったのは、2018年のもう一つの目標にしていた、7月終わりのプロテストだ。
「合格して、自分のなかに芯ができたという感じでした。私はプロゴルファーだからと、胸を張れるような。その前は宣言プロですから、一応プロですよという雰囲気でしたが、プロテストに受かったら、いわばLPGA日本女子プロゴルフ協会という“会社”の社員になったという感じです。自覚ができたんだと思います」

 9月の「山陽新聞レディースカップ」から4戦中3戦に優勝。全21戦のステップ・アップ・ツアーで出場は半分ほどの12戦ながら、2位に大差をつけての賞金女王戴冠だった。
「賞金女王になったことよりも、12回試合に出て4試合で勝てたことのほうがうれしいというか、自信になりました。その4回も、全部勝ち方が違っていて、プレッシャーの感じ方や攻め方、守り方、考え方など、いろいろなことを全部経験できたのが本当に大きかったですね。レギュラーツアーはもちろん、ステップ・アップ・ツアーでも、どんな試合でも、勝つことは本当に大変です。運もそうですし、いろいろなことが必要になってきますから。賞金女王になったのは、ご褒美のような感じです。一生懸命やった自分に、神様がご褒美をくれたのかなと」
 今年はもう一つ、彼女にとってご褒美のような出来事があった。キャロウェイのスタッフプレーヤーになれたことだ。
「桃子さんが使っているのを見てきて、自分もずっとキャロウェイだったので、最初にその話を聞いたときは、『えっ!?』ってなりました。一つの目標にしていたので、本当にうれしかったです。いまだから言えるのですが、去年のQTをサードクォリファイで失敗していたので、うれしさと同時に、頑張らなきゃいけないという不安もすごくあったんです。もちろんいまでは、本当に良かったと思いますが。いつかは桃子さんみたいに、『キャロウェイといえば、河本結』となるくらいになりたいと思っているので、第一歩としてすごくうれしかったです。(セルヒオ)ガルシアとも同期ですからね(笑)」

 彼女の強みは、周囲の期待をしっかりと受け止めて、プラスのエネルギーに変換できるところだ。
「プレッシャーを感じることは、それだけ応援してもらえているということなので、すごく幸せなことだなといつも思っています。私はどちらかというと、それを力にして発揮できるほうかなと。プレッシャー、緊張、応援……たくさんあるほうが力に変わるんですよね。試合で言えば、最終日のバックナインで伸ばせるといった、ここぞという場面で頑張れるところ。そこは、すごく大事にしていかないといけないかなと思っています」
 2019年は、「シード権獲得は最低限のラインで、まずは1勝すること」を目標に、晴れてレギュラーツアーの一員として戦う。だがその前に、11月15日から、あの「大王製紙エリエールレディスオープン」にホステスプロとして臨む。

「意気込みは……勝ちたいです。本当に勝ちたいです。でも、そんなことができたら、それはもうタイガー・ウッズですからね。とにかく、自分のゴルフをきっちりと地元の松山でプレーして、4日間を戦い抜きたいです。そして、ギャラリーのみなさんやボランティアのみなさんなど、自分のゴルフを見てくれた人に、『今日1日、見てきて良かったな、楽しかったな』と思ってもらえるように頑張りたいですね。ゴルフには、小さい子からご年配の方まで、いろいろな方がいらっしゃいますが、本当に一生懸命に笑顔でプレーして、『僕も頑張ろう』とか、『私も頑張ろう』とか思ってもらえたり、元気や感動を与えられたりするようなゴルファーになりたいんです」
 彼女の胸の内にはきっと、目を輝かせて上田プロを見つめる、11年前の幼かった自分の姿が浮かんでいるのだろう。