AI(人工知能)が生み出した、最新のフェース。 「EPIC FLASH」の開発秘話!  

1月8日に発表され、各メディアでも大きく注目されている2019年ニューモデル、「EPIC FLASH シリーズ」。その話題の中心にあるのは、なんといっても、「FLASH フェース」です。「反発ルールを守りながら、ボール初速を最大限に上げ、耐久性を確保せよ」という命題を与えられて、AIとスーパーコンピュータが導き出した、このフェース。裏側が独特の波打つような形状となっていて、従来のものとはまったく異なるものであることがわかります。実際のパフォーマンスも優れていて、発表会に出席した石川遼プロ、上田桃子プロも、口を揃えて「非常に飛ぶ」と言っていました。

でも、もしかしたら、まだまだ「FLASH フェース」のすごさがピンと来ていないという方もいらっしゃるかもしれません。そもそも、AIとかスーパーコンピュータと言われても、一般人にはわかりづらいですよね。ということで、発表会にアメリカからやってきていたキャロウェイ本社のエンジニア、ジム・セルーガさんと、ゲストとして登壇されたサイエンスライターの竹内薫さんに、より詳しいお話をうかがってきました。竹内さんは、テレビ出演などでご存じの方も多いことでしょう。

まずは、AIについて。最近ではいろいろな場面で耳にすることも多く、人工知能とも言われますが、いったいどんな能力を持つのでしょうか。竹内さんによるとAIは、「人間の脳を真似したもの」とのことです。

「人間の脳の細胞と同じ仕組みになっていて、AIに情報を流すと、計算をして、答えを導き出します。たとえば、将棋の盤面の情報を入れると、次の一手が出てくるというような。人間がいつもやっている試行錯誤を、コンピュータでやってもらっているというのが、大まかな原理です。しかも、すごくスピードが速いというのが特徴です」

サイエンスライターの竹内薫さん

今回の「FLASH フェース」は、1万5000回もの試行錯誤(従来の34年分)が繰り返されたということですが、というから、すごいですよね。従来の開発では、10にも満たない数のプロトタイプを解析・修正し、製品化していたのですから、大きな違いです。でも、だからといってAIが万能かといったら、そうではありません。竹内さんが続けます。

「AIは意識を持っていないので、自分でクラブを設計しているということは知りません。だから、『これをやりなさい』と、科学者やエンジニアが指示を与えて初めて、それを高速でやってくれるんです。人間の外部脳みたいなものなので、それを使いこなす人間が大事です。今回も、キャロウェイの技術陣の方のクリエイティブな発想があって、それでAIを使いこなしたことにより、スピードがアップしたということです」

AIが導き出した『これがいちばん最高のフェース』

つまり、AIにお題を出したら、AIが勝手に試行錯誤を繰り返して、すぐに「FLASH フェース」が出来上がったといった、そんな単純な話ではないということです。ジムさんが、開発時の苦労話を明かしてくれました。

キャロウェイ本社のエンジニア、ジム・セルーガさん

「最初の頃は、AIから答えすら出てきませんでした。失敗した答えが出てきたときも、人間のほうで、何をやれば答えが導き出されるのか、ということを協議し、また次のステップに行くという感じです。もし、いまここに失敗例をお見せしたら、この発表会の会場が失敗作で埋もれてしまって、私は恥ずかしい思いをしてしまいますよ(笑)」

ジムさんによれば、AIによる開発が始まったのは、ジェイルブレイクテクノロジーが世に出る少し前の2016年。そこから1万5000回の解析・修正が繰り返されたわけですが、実際に機能するデザインが出来てきたのは最後のころで、数にすると6個(!)くらいだったとのこと。

「でも、6個あるうちはまだ、AIが引きつづき修正を繰り返しました。今回のAIとスーパーコンピュータでの開発では、もうこれ以上パフォーマンスが上げられないというところで止まる条件にしていたので、AIの修正が止まったところがいちばん最高のフェースということです。一つ前のものだと、まだ修正の余地があるということで、それを採用するということは考えられませんでした。『FLASH フェース』は、AIが、『これがいちばん最高のフェースですよ』と導き出したものなんです。これ以上に行くとしたら、私たち技術者が、違うインプットをしていかなければいけません。また、『FLASH フェース』は、EPIC FLASHのために設計されたもので、ほかのドライバーに導入しても、うまく機能しないんです」

「先入観がないから、常識外れのものをつくっちゃった」

こうして、フェース裏側が“うねうね”とした「FLASH フェース」ができたわけですが、竹内さんは最初にこれを見たとき、“なんで、この形なんだ?”と、かなり驚いたそうです。

「反発をいちばん大きくするとすれば、それなりに中央を厚くして、ボールをガチッと受け止めるだろうな、という考えが出てきます。そしておそらく、その周りは薄くしたほうがいいだろう、と。『設計してよ』と言われたら、自分の物理学の知識では、たぶんそうすると思うんです。ところが、これはそうじゃなくて、厚い部分はあるけれど、その厚みも微妙に変わっているし、二重の輪のようになっています。これはさすがに、思いつかないです。
でも、AIには物理学の知識がないので、先入観がないんですよね。先入観がないということは、なんでもあり。だから、ああいう有機的な形になるんでしょうね。物理をやっていると、結局、決まりきった規則的なパターンになりがちです。それにならないというのは、やっぱり常識がないから(笑)。常識外れのものをつくっちゃったということです」


そして、さらに竹内さんは、この形状のすごさを、ちょっと違った観点から説いてくれました。

「有機的な格好で、いちばん最適化されているのは、生物がそうです。生物の形は、何億年もかけて進化します。うまくいかなかった生物は滅び、最適化されたものが生き残る。その結果、有機的な格好になるんです。決まりきったマルとか四角とか三角じゃなくて、有機的なものになるんですよ。『FLASH フェース』の開発は従来の34年分という話がありましたが、生物の進化のようなことをAIで時間をすごく圧縮してやったというイメージですよね。AIを使っているがゆえに、有機的なイメージが、生物の進化に似ているんだなという気がします」

そして竹内さんには、もう一つ驚いたことがあったそうです。

「まず、スーパーコンピュータを持っているということに、本当にビックリしました。通常、スーパーコンピュータは高額なので、時間貸しで使うんです。研究所でも持っていないところは多いですから。以前、僕が聞いた話だと、惑星の衝突を計算している科学者の方がいて、クリスマスの休みの間だけ借りて、そこで計算して論文を書いたそうです。スーパーコンピュータは、借りるのも大変なんですよ。でも、キャロウェイは、それを購入しているということで、これはもう、本気度が違うなと。僕も雇ってほしいくらいですよ(笑)」

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