「親へのプレゼントは、1勝してからと決めているんです」柏原明日架

CALLAWAY STAFF PLAYER ASUKA KASHIWABARA
キャロウェイスタッフプレーヤー 柏原明日架

アマチュアとは違う厳しい世界。だが、最初の壁は、自分の手でしっかり突き破ってみせた。柏原明日架の前にはいま、名前の通り、輝ける明日への架け橋が間違いなく存在する。

柏原明日架インタビュー

身長168cmの、堂々とした体躯。大物感が漂う。
「ははは、いまの時点でも、なんだか若手扱いされないんですよ(笑)」
 柏原明日架、20歳。大器として将来を嘱望される彼女がゴルフを始めたのは、7歳のとき。父親が練習場に連れていったという、言ってしまえば、よくある話だ。
「たまたま、打ってみる? という話になって打ってみたのですが、難しくて、うまく当たらなかったんです。もともと負けず嫌いで、うまくいかないことが悔しくて」
 だが、ここからが普通と違う。まだ小学校低学年の彼女に、父親はこう言った。
「ゴルフを始めるのであればプロを目指せ、習いごとみたいな感覚ではやらせない、と。中途半端なことが本当に嫌いな父なんです。私も即決で、じゃあプロを目指しますと言いました。気持ちはそのときからずっと変わらなかったですね」
いまの彼女をつくり上げたのは、間違いなく、現在もコーチを務める父親の厳しい指導があってこそだ。

柏原明日架インタビュー

「反抗期がありましたが、そのときも、『反抗期とか、ないから』と、一言で片づけられました(笑)。娘ですけど、普通に殴り合いも何度もありました。でも、一度離れたいという時期はありましたが、ゴルフをやめたいとは思いませんでした。ゴルフは取られたくないというか、失いたくないですね。いまも父は、変わらず厳しいです。でも、怒られる頻度は減りました。お互いだんだん頭が良くなって、かわし方とかを覚えましたから(笑)」
おかげで、彼女は輝かしいアマチュア時代を送った。ざっと挙げると、2010年は全国中学校ゴルフ選手権春季大会優勝、日本女子アマでランナーアップ、日本女子オープン40位タイ。高校に入るとナショナルチームに選ばれ、2012年にはイングランドで開催されたジュニアオープンゴルフ選手権で日本の女子選手初の優勝。2013年は、全国高等学校ゴルフ選手権春季大会優勝し、同年、韓国、台湾と争う「ネイバーズトロフィーチーム選手権」では個人、団体の2冠も獲得。高校を卒業後の2014年も、7月のプロテストまでの間に、地元宮崎での女子ツアー、アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKIで4位タイ。ほけんの窓口レディースでも、初日、2日目と首位に立ち、最終的に6位タイとなった。

25歳までに賞金女王になるのが目標

こうなると、周りはもう放っておかない。期待の新星登場に、大いに沸き上がった。だがそれとは裏腹に、彼女はここから少しの停滞を強いられた。トップ合格を期待された2014年プロテストでは、合格したものの9位タイ。そして、12月のQTでは58位に沈んだ。
「プロでやれそうだ、というのは、ずっとなかったですね。自分に自信を持たせようとして、そう思うようにしていたんですけど、心の底からというのは、ありませんでした。QTに失敗したときには、正直通用しないんじゃないかなと思った時期もありました」

2015年も順風満帆ではなかった。5月のほけんの窓口レディースで6位タイ、9月のゴルフ5レディス プロゴルフトーナメントでは5位タイに入るも、一方で予選落ちは7回を数え、予選を通っても30位以下という成績が6回にも上った。出場試合を増やすために、必勝を期して臨んだステップ・アップ・ツアー(優勝するとツアー4試合への出場権が与えられる)では、2位と2位タイを計3回記録したが、優勝には届かなかった。
「いけるんじゃないかなと思ったら、また自信を失いかけて、良かったり悪かったりが激しかったですね。悔しいというか、なんでだろう? と」
だが、やはり彼女には培ってきた地力があった。10月の日本女子オープンが、柏原明日架の名前を一気に全国区へと押し上げた。最終日終盤まで優勝争いを演じて、4位タイ。
「やっぱり勝ちたかったですね。ただ、その試合に入る前に、自分のテーマが決まっていたので、優勝とかシード権とか、そういう成績のことは全然考えていませんでした。一打一打に集中して、打ったら、そのあとの移動の時間は、まったくゴルフのことは考えず、気持ちの切り替えをしっかりする。これをキャディさんと決めていましたから」

柏原明日架インタビュー

 彼女の最終戦となった大王製紙エリエールレディスオープンでは、35位タイながら、賞金ランキング50位と、ギリギリで2016年のシード権も獲得した。
「シードを取れたのは、ちょっと信じられなかったですね。他の選手のスコアで賞金がいろいろ変わってきていて、ホールアウトしてから2時間ぐらいずっと待っていました。決まりましたと言われたときは、もう一回計算しなおしてくださいと言いました(笑)」
 晴れて、フルにツアーを戦える2016年。もう、足踏みはしないと決めている。
「前半戦に1勝したいです。そして、最終戦のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップに出場することが目標ですね。宮崎での開催ですし、ジュニアのときからずっと見ていた試合でもあります。出場するだけでも、いままでお世話になった方々に恩返しもできると思います。賞金ランキング25位以内ではなく、1勝してその場所に行きたいですね」

柏原明日架インタビュー

 将来の目標も、はっきりしている。しかも、それはごく近い未来の話だ。
「賞金女王を取りたいです。それも25歳までには。ただ、じつは最初、プロになって3年以内に、と思っていたんです。でも、昨年1年出場してみて、全然甘くない、けっこう厳しいなと思い、あと数年は自分に甘くしてもいいかなと(笑)。こんなことを言っていたら、父に怒られますね。父には、来年にでも早く取ってくれと言われます。いままで、お金も時間もたくさん使ってきてもらったので、今度は私が使ってもらう番ですから」
 ちなみに賞金は、プロとして最初に稼いだ、2014年meijiカップの47位タイ、38万1000円からすべて、貯金している。
「古閑美保さんの、選手でいたときにはまったく賞金に手をつけなかったという話がすごく印象に残っていて、あんなに稼いでいるのに使っていないというのがカッコいいなと思ったんです。たしかに、最初の賞金をもらったときは、親へのプレゼントも考えました。でも、やっぱり1勝してからかなと、自分のなかで決めているんです」

柏原明日架
出身地:宮崎県宮崎市
生年月日:1996年1月30日
出身校:日章学園高等学校(宮崎県)
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