「アメリカに行くかどうか、いま本当に悩んでいます」丸山茂樹インタビュー

スタッフプレーヤーインタビュー 丸山茂樹

「アメリカに行くかどうか、いま本当に悩んでいます」

丸山茂樹も、今年50歳を迎える。ゴルフも、ベースボールグリップにより、痛みを感じることなくできるようになった。ただ、だからといって、すぐに新たな道への答えは出せない。彼だからこその難しい選択を迫られている。

 丸山茂樹が最後にツアーに登場したのは、2016年9月のANAオープンにまで遡る。それには、長年悩まされてきている左手親指付け根の痛み(CM関節症)と、それをなくすために受けた2017年の手術が影響している。
 しかし、いま丸山は、ゴルフを積極的にできている。2016年、一躍トッププレーヤーの仲間入りを果たした時松隆光プロの存在が大きい。
「彼の出現によって、彼がずっとやっているベースボールグリップというアイデアを取り入れることができました。2017年の6月くらいから試しはじめて、自分のなかではなんとなくわかってきたかなと。少しずつ手応えが出てきた感じです。あのグリップだと、普通にラウンドしている分には、まったく問題はないです。1球打ってから、歩いて休むことになりますからね。ただ、100球とか、連続で打ったりすると、少し張りが出たり、痛みを感じたりすることはありますけどね」
 いまは、ドライバーからサンドウェッジまで、すべてをベースボールグリップで打っているという。

「本当に目の前の短いアプローチだけは、普通のグリップでしていますけどね。でも、ベースボールグリップをやることによって、普通のグリップのいい部分も、いま感じているところなんです。一体感というのは、やっぱり大切なことだったのかなと。
 普通のグリップは、右手の小指と左手の人差し指を絡めて握っていますから、ベースボールグリップは自ずと、それよりも半インチくらい、両手が離れて握ることになります。このちょっとした距離感が、非常に難しくさせるんですよ。ヘッド重量や、クラブのバランスの感じ方も違ってきますから。そのため、アイアンを半インチ伸ばしたり、ドライバーを4分の1インチ伸ばしたりとかして、試行錯誤しています」
 しかし、そこで問題になるのがサンドウェッジだという。サンドウェッジは、彼のゴルフの生命線だ。

「いまでもサンドウェッジは、怖くて伸ばせないわけです。アイアンなんかは、まだ、ごまかすことができるんですが、ウェッジは微妙なコンタクトが要求されます。その微妙なタッチを、果たして半インチ伸ばしたときに出せるものなのかどうか……。いろいろなことを考えると、いまはいちばんそこが難しいところです。自分がいちばん得意のグリーン周りのパフォーマンスが、まだ50%にしかいっていませんから」
 一方で、ドライバーの飛距離も元には戻っていない。ただ、そこはまだ自分のなかで許容範囲として捉えられている。

「グリップもありますが、年齢もあると思います。だからそこは、臨機応変に認めなくちゃいけないのかなと思いますし、いつまでも若い自分ではありませんから、このくらいのところで、どういうふうにできるのかを考えるべきじゃないかなと。そこは頑固にならずに、自問自答しながらいきたいなと思いますね」

帰りが遅くなっても、スクワットをやってみたり、腹筋をやってみたり……

 丸山茂樹も、今年の9月12日で50歳を迎える。ベースボールグリップでゴルフができるようになって、シニアへの道も開けるとあれば、周囲はやはり、“戦う丸山”の姿を見たいと思う。
 だが、丸山のなかでは、まだはっきりとした答えが出ていない。
「AかBの2つの考えしかないんですけどね。一つは、子どものころから、ゴルフをやるにあたっては、優勝するしか頭になかったので、やっぱりそういうパフォーマンスができなければやる意味があるのか、という自分自身との格闘です。そして、もう一つは、それでもやっぱり、シニアというステージを経験することで、ゴルフ界やいまの自分が置かれている解説や講演という場で、また新たな話ができる自分がいるのかなということ。お世話になった業界に対して、どんなことができるか、それに子どもたちにどんなことが伝えられるかということも、大事なことだと思うので。それらをどういうふうに、自分自身に言い聞かせていくかということが、いまいちばん難しいところですね」

 2017年のインタビュー時には、「アーニー・エルスやレティーフ・グーセンが同年代で、同じ時期にチャンピオンズツアーで戦うことになるので、楽しく一緒に回りたいですね」と明るく語っていたが、アメリカに行くかどうかも、いまはすぐには決断できない。
「アメリカと日本というのもまた、2つの道なんですよ。それこそ日本のシニアツアーは、表現は適切じゃないかもしれませんが、もしかしたら、そこにいて喜んでもらえるだけでもいいのかなと思ったりするんです。“あっ、丸山が来た!”“マルちゃんだ!”って言ってもらえるだけでもいいのかなと。でもアメリカは、難しいですよね。そこは本当に悩んでいます。50歳になって、アメリカの田舎町で一週間、またハンバーガーとピザとサンドウィッチの生活ができるのか、と。若いときは、そういうのも楽しかったですよ。でも、オジサンになって耐えられるのかなと思うわけです。この仕事って、孤独なんですよ。もちろん、周りに助けられている部分はたくさんありますが、最後は自分自身ですから」
 丸山は続けて、「宿命」という言葉も使った。そう、自分がどう思うかにかかわらず、丸山茂樹はアメリカに行かなければいけない立場にいるとも言える。
「やっぱり、宿命ってあるじゃないですか。丸山茂樹がゴルファーとしてやってきた道を考えたとき、『プロがプレーしているところを見たい』と言ってくれる人が1人でもいれば、その気にもなるんですよね。

 トレーニングも、なんとなく日々、いろんなことをやったりしていう自分がいるということは、捨てきれないからこそですよね。お付き合いで帰りが遅くなっても、スクワットをやってみたり、腹筋をやってみたり……。それに、いちばんいいときの自分の体形をあまり変えちゃいけないかなとか、スッと入っていける準備をしておかなきゃいけないかなとか、いろいろ考えたり。どこかに気持ちがあるんだなというのは、別に隠す必要もないことですし、これが素直なところです」
 答えは、「誕生日の9月に出したいですね」と言う。それまでもう、約4カ月しかない。果たして丸山茂樹は、どの道を選ぶことになるのだろうか。

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