「いろいろな経験をしたからこそ、2019年は一味も二味もいいものを見せたい」柏原明日架インタビュー

スタッフプレーヤーインタビュー 柏原明日架

「いろいろな経験をしたからこそ、2019年は一味も二味もいいものを見せたい」

長く悩みのなかにいた2018年シーズン。しかし、それもいまでは、とても意義のある期間だったと振り返ることができる。酸いも甘いも噛み分けたいま、柏原明日架の真の覚醒が近づいているのかもしれない。

 食事や生活をはじめとして、何事においてもバランスが大切と言われる。いくら健康に良いものであっても、それだけを食べていて、いいわけがない。悪者扱いされることの多いストレスだって、適度な量ならば、逆に人や生き物を強くしてくれるそうだ。
 ゴルフも同じかもしれない。心・技・体のどれかだけが突出していても、強くなれるわけではない。プレーヤーを取り巻くあらゆるものが良い具合に関連し合って初めて、安定したパフォーマンスを発揮できる。柏原明日架は2018年を通して、このことを身を持って感じたようだ。
 苦しいシーズンではあった。自身最初の7戦で予選落ちは開幕戦のみだったが、予選を通過しても順位は21位タイから43位タイの間と、トップ20に入れない。9戦目の予選落ちを挟んで、8戦目のサイバーエージェント レディスゴルフトーナメントで単独2位、10戦目のほけんの窓口レディスで5位タイと、ようやく本領発揮かと思いきや、続く2戦でまたまた決勝ラウンドに進めない。さらにシーズン中盤に4戦連続、最終盤にも3戦連続の予選カットを喫した。前年、計7度だった予選落ちは13回に増え、トップ10も計7回から、前述した2戦のみに。シード権は守ったものの、賞金ランキングは17位から44位に落ち込んだ。プロになってから毎年、順調にランキングを上げてきた彼女にとって、初めての挫折と言っていいのかもしれない。

「プロ入りしてから、もっとも厳しいシーズンだったかなと、正直思います。成績が出ないというのがありますけど、途中で本当に自分がやっていることが正しいのかなと思いはじめ、そこから自分を信じられない時間がすごく長かったです。何より、そこがいちばん苦しかったかなと思います」
 これを聞いて、昨年のインタビューでの言葉が印象深く浮かび上がる。
「勝つために必要なのは、いまやっていることを続けることじゃないですかね、たぶん。2017年はうまくいきましたけど、2018年がスタートしたら、もしかしたらうまくいかないかもしれないですし、開幕からずっと予選落ちしてしまう可能性だってあります。ケガをしてしまうかもしれない。でも、その状況を恐れて、変えることがいちばんダメだと思います。できるだけ、いまの自分の、いま持っている自信というものを、開幕戦から最終戦まで変えないことが、いちばんの近道なのかなと」
 しかしフタを開けてみれば、「自信」を継続できたのは、「シーズンの最初のころ」だけだったと彼女は明かす。

「たぶんプロ入りして、いちばん自信がないシーズンだったので、やっていてももちろん楽しくないですし、ワクワク感もない1年でした。それが良くないと自分で気づいて、途中からは考え方もチェンジし、良くはなりましたけど」
 悩みのスタートは、スイングや体の動きだった。ただ、問題の根本が必ずしも、それら自体にあるというわけではなかった。絡んだものを紐解いていくと、心の持ちように行き当たった。
「これまでは、自分自身をわかっていると、自信を持って言えていました。自分の癖だったり、スイングの動きだったり。それが2018年は、なんでそうなっているんだろうと考えれば考えるほど、どんどん自信がなくなっていって……。
でも、自分の頭のなかが、そういう動きをさせてしまっているということに気づいてから楽になりました。なぜ、そういうスイングをしているのか、そういう動きになるのかを考えるのではなく、自分の頭の使い方や、ミスしたときの受け入れ方から来ているものだと考えたら、『ああ、なるほど』となったんです。自分のなかで原因が一つわかったことで、対策とか、どういうふうにやったらいいのかといったことが、すぐにボンボンボンと整理できました。秋口、10月ぐらいですね。そこからは成績こそ、なかなかうまくいかなかったですが、最後の2戦くらいは結果に少しずつなっていきました」

怖いもの知らずなときに戻りたい気持ちもあります

 加えて、彼女があらためて感じたのは、本当のトップ中のトップの選手と自分の違いだ。
「自信過剰でもいけないし、いろんなもののバランスがとれていないと、しんどいなと思います。体だけが強くなってもダメですし、技術だけが上がっても結局、成績はついてこない。本当に心、頭、技術もそうですし、体といい具合にバランスがとれていないと。そこがやっぱり、毎年、上で戦っている選手というのは、すごいんだと思います。1年間、シーズンを戦ううえで、上位の選手というのは何かしら共通点があると思っていますし、自分と照らし合わせたときに、その部分が足りないんじゃないかなと思うんです」


 つらい思いは、誰しもしたくはない。しかし、こうした気づきを得たいま、彼女には2018年も悪くない時間だったように見えてくる。
「苦しかったですけど、もし2019年、2020年に今回と同じことが起きていたと考えたら、早いうちに経験できて良かったなという思いがありますし、正直なところ、行くところまで行ったのかなとも思っています。いろいろ考えることだったり、苦しい気持ちになったり、ゴルフを嫌いになる時間がすごくあったりしました。でもそれも、いろいろ経験していくなかでは必要なことだと思いますから。毎年、上位に行っている選手みたいになりたいという目標はもちろんありますし、掴んだ者勝ちと言いますか、そこも含めて2018年はすごくいいシーズンだったんじゃないかなと。毎年、シーズンが終わって収穫は何かしらありますけど、いままで以上に自分のいいところ、悪いところも含めて、すごく向き合えたシーズンだったと思います」
 大器と言われてデビューしたのは、ついこの前という感じもあるが、2019年はツアーフル参戦5年目となる。彼女は素直に、「早いですね」と答えた。
「年々、若い選手が出てきますし、私も以前はあんな感じだったのかなと思うと恐ろしい感じもします。でも、恐ろしい反面、戻りたい気持ちもあります。何もわかっていない、怖いもの知らずなときに戻りたいと。ただ、逆にいろんなことを経験してきたから、こうやって知ることができた部分もたくさんあります。だからこそ、一味も二味もいいものを見せられたらいいなと思いますね」
 大きな素質の上に積み重なった、さまざまな厚み。そんな柏原明日架は、相当強いに決まっている。
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