「生まれ育った広島に、少しでも元気や勇気を届けたい」佐伯三貴インタビュー

スタッフプレーヤーインタビュー 佐伯三貴

「生まれ育った広島に、少しでも元気や勇気を届けたい」

2018年は、安定したスイングで、内容のいいゴルフができた。何より、“やれる”という可能性を自分に感じられたことがうれしい。地元への思いも胸に、2019年、佐伯三貴は、ただ勝利へと突き進む。

 テニスなどと違って、ゴルフは相手と直接対峙するゲームでないところが、おもしろくもあり、難しい。いくら自分がベストなプレーをしても、他のプレーヤーがその日、その週に、より優れたパフォーマンスを発揮してきたら勝てない。基本、相手をコントロールすることができないスポーツだ。
 佐伯三貴は2018年、何度も優勝争いを繰り広げた。アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKIでは、初日をトップタイで出て8位タイ。シーズン終盤のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメントでも2日目まで首位を守り、最終的に2位タイ。シード権争いの渦中にいた最終盤の伊藤園レディスゴルフトーナメントでも、初日単独トップから6位タイフィニッシュ。いずれも勝利には届かなかったが、彼女はすべてをポジティブに振り返る。
「私が感じたのは、やっぱり運と言うんでしょうか。私のなかでは、ここが悪かったとかいったことがなかったんです。私より相手が良かったんだと理解しました。残念という気持ちよりも、やれるんだという希望が見えたように思っています。つらかったのもあったんですけど、すごく自分に可能性を感じられる1年でした。もうあと一歩で勝てるというのも見えてきたので、やってきたことは間違いではなかったなと思いましたし、ケガも気にせずできたので、私にとっては総括すると、いい1年だったかなと思います」

 それだけ、2018年は手応えのあるプレーができたということだ。「つらかった」というのも、好調だったからこそ出てきた感情だった。
「スイングを、すごくいい状態で持続できていました。自分でも『どうしてだろう?』と思うくらいでした。それで逆に、結果が出ないことに苛立ちを感じていたというところがあったんです。シーズンを通してスイングが良かったというのは、すごく自信にもなりましたし、この状態を維持できたんだから、さらにそこにプラスアルファしたら、『可能性、無限大じゃん!』みたいな(笑)」
 トレーニングの方法に変化を加えたことも、大きく作用した。2015年の手首の大きな手術から3年。手術を経た自分の体と、いかに向き合っていくか。そこにようやく、程良い塩梅を見つけたということかもしれない。
「ウェイトトレーニングはあまりしないようにしました。きっかけは、やっぱりケガをして、もうウェイトをそんなにできないというのもありましたし、ケガをしたくないというのが第一優先だったからでもありますね。それと、ゴルフでこういう動きをしたいから、こういうトレーニングをしよう、とか、こういう弱点があるから、じゃあこういうものを取り入れていこうとか、自分の頭でもちゃんと理解をしてトレーニングをするようにしました。これまではトレーナーがメニューをつくって、それをそのまま実践するという感じでしたが、昨年のオフからはトレーナーとコーチと私で連携をとって、うまくできました。もちろん、いまのキャロウェイのクラブがすごくいいということもありますが、そういうやり方でトレーニングを始めたら、私の年齢であっても、2017年より平均で10ヤード、飛距離が伸びたんです。それって、すごいことだと思うんです。そういう意味でも、収穫がすごくありましたね」

「優勝は近いと思います。2019年、佐伯さんはやってくれると思いますよ」

 2018年は、53位という2017年の賞金ランキングにより、前半戦の出場権という条件付きのシーズンスタートだった。しかし、途中で実施されるリランキングはもちろん、シード権争いさえも、自信を深めた彼女の目には、いっさいチラつかなかった。

「シード権については、全然気にしていませんでした。正直に言えば、2017年のほうが、『ああ、ダメだったらやめればいいや』と思っていて……。でも、2018年はダメという感じがしなかったんです。シーズンの終わりくらいのころ、周りはなんだか“冷や冷やさせないでよ”という感じだったんですけど、私のなかで焦りはまったくありませんでした。もう、(シーズン前半戦の出場権が得られる)55位までには絶対入れると思っていたし、シードも全然、いけると思っていました。リランキングに至っては、なんにも考えていませんでした。そこを目標にしていなくて、“勝つか負けるか”でやっていましたから。シーズン途中から出られなくなったらどうしようとか、1回も考えなかったですね」
 結果的にシード権のボーダーである50位を超えて、賞金ランキング45位。シード権獲得をしっかりと果たした。ただ、本人が言うとおり、目指しているのは昨年、そして今年も、そこではない。「優勝は近いと思います。2019年、佐伯さんはやってくれると思いますよ。ハハハ」と冗談めかしたあとで、彼女はきっぱりと新シーズンへの目論見を口にした。

「2018年はトップ10が3回でしたが、それを5回、10回と増やしていきたいです。そうすれば、自然と優勝争いも増えてくると思いますし、やっぱり突然パーンと出るんじゃなくて、平均的に上げていけたらなと思っています。試合勘という部分では、ケガからもう時間も経ったので問題ないですし、あとはアプローチとか、自分のプレーの組み立て方などかなと思います。そういうものをもう一回見つめ直して、初心に帰るところは帰り、進むところは進んで、やっていけたらと思います」
 一線で長く戦ってきた彼女は、「つらいゴルフをずっとやってきたので、もう、それはいらないです。楽しく、後悔のないように」と言うが、じつは今シーズンの自分に、少しだけプレッシャーをかけてもいる。自分やごく身近な人のためだけでなく、ほかにも勝ちたい理由がある。
「昨年の豪雨災害により、私が生まれ育った広島でも、大変な被害が出ました。そんななか、自分が頑張っている姿で少しでも元気だったり勇気だったりを与えられるのであれば……。もちろん、私の大好きな広島カープや、サンフレッチェ広島も勇気づけてくれていますけど、私もゴルフ界をしっかりと引っ張っていけたらと思っています」
 2013年以来の通算8勝目が達成されたとき、これまで挙げた7勝とはまた違った喜びと、何倍もの涙が押し寄せてくることだろう。

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