「2019年は、いままでにないくらい大きな年になる」石川遼 インタビュー

スタッフプレーヤーインタビュー 石川遼

「2019年は、いままでにないくらい大きな年になる」

日本ツアー復帰1年目の2018年。優勝こそならなかったものの、“確信”を得ることができた。石川遼はいま、心にほとんど曇りのない状態で、重要なシーズンへと臨もうとしている。

 最高位2位、トップ10は5回、賞金ランキング22位。常に優勝争いを“義務づけられる”石川遼の成績としては、物足りないと見る向きもある2018年シーズンだっただろう。しかし当の本人は、「全体的には、すごく良かったですね」と自己評価する。前向きな彼の頭のなかでは、いつでも“現在”が基準となるからだ。
「基本的に過去をあまり振り返らないタイプというか、いまを大事にしているところがあって。その意味で、最近はいい感じでゴルフもできているので、2018年の成績に関してダメだったなといった感覚は、正直あまりないと言いますか、数字は良くなかったかもしれませんが、全体的にはいい方向に行っているかなという思いがあります」
 “いい方向”の中心にあるのは、やはりドライバーショットだ。ここ5、6年、ドライバーに苦しむ姿が続いていた。
「ゴルフは、アプローチのミスやパッティングのミスが、ドライバーに繋がったりするので、ゴルフ全体ということにもなるのですが、やはりいちばんはドライバーですね。
 正直、ドライバー以外のクラブには悩んだことがないので、ドライバー1本にスイングも捉われていました。ドライバーをうまく行かせようとするがために、いろいろなスイングに取り組んでしまったり、変えてしまったりしていたんです。そこがここ5年でいちばん難しかった部分かなと思います。
 ドライバーが自分の視界のなかにあるときは、フェースの向いている方向がわかるのですが、視界から外れると、どこを向いているかわからなくなっていたんです。トップでもわからないし、切り返しのときもわからない。その状況のなかで、もう思い切りという気持ちだけでドライバーを打っていたわけです。だから、真っすぐ行っても続きませんし、なぜ真っすぐ飛んでいるのかもわからなかったんです」

 状況が変わったのは、シーズンも終盤戦を迎えた11月中旬のことだった。ドライバーのネック周りに鉛を貼ることで、光が差し込んできた。
「すごくハマったという感じですね。何が起きているのかは、はっきりとはわからないんですが、おそらく重心の距離が短くなって、3番ウッドにより近い形になっているんだろうなと想像できます。いままでヒール側に鉛を貼るということはやっていたんですが、ネックを重くするということに関しては考えたことがなかったんです。自分の場合、アイアンのスイングがすごく好きで、それと同じ感覚でドライバーをちょっとずつ打てるようになってきています。いままで10くらい距離が離れていたとしたら、一気に5くらい、アイアンとドライバーのスイングの距離が縮まったような気がするんです」
 良い感触は、2019年のニュードライバー、「EPIC FLASH」にも引き継がれていて、それが彼のいまの気持ちをより強くさせている。
「すごくいい調整ができて、以前のエースドライバーより合っている感じですし、数字的にも飛距離が出ているので、スイッチしやすかったですね。そこがいま、自分としてはすごく順調にいっているという要素です」

世界一になるという目標は変わっていない

 いま一度、2018年を振り返ると、夏に熱中症で戦線離脱を余儀なくされるという大きな事態もあった。しかし彼はすでに、その苦い記憶さえもポジティブなものに変換できている。
「自分としては、恥ずかしい話なので、悔しいというか、それ以上に自分に呆れているところはありますし、もし熱中症になっていなかったらなあと思ったこともありました。でも、熱中症にならずに、もう少し成績が良くて、ドライバーについても見て見ぬ振りをして成績を出せていたとしたら、現在の状況にも繋がらなかったと思います。長期的に見たときに、長年、自分が悩んでいたことにメスを入れることができたということでは、縁なのかなということは思いますね」

 確かな自信が醸成されつつあるなかで、2019年シーズンは早くも1月から始まる。気持ちは自然と昂るが、それにはもう一つ、大きな理由がある。
「東京オリンピックの前年ということで、2019年は、いままでにないくらい大きな年になると思っています。気合いを入れて頑張っていきたいと思いますし、非常に少ない枠ですけど、そこに入れるように頑張りたいと思います。
 そのための数字の目標は立ててはいないですが、2019年はやっぱり、自分が頭一つ抜けて終わりたいというのはありますね。いま日本のツアーは、すごく力が拮抗していて大混戦です。大混戦のなかでは、結果的に賞金ランキングなどの順位がつきますが、数字を抜きにしたときに、『彼もうまいし、彼もうまいよね』という状態になって、誰がいちばんかというのはわかりにくいですよね。そのなかで、周りから見て『石川遼がいちばんうまい』と言われたいというのではなく、自分がそう思いたい。そこを目指したいですね」

 最後に、やはり確認しておかなければいけないことがある。日本ツアーに復帰して2年目を戦おうとしている石川遼の胸に、いまアメリカ、USPGAツアーはどんな位置づけとなっているのか。
「常に自分の頭のなかにはあります。自分としては、やっぱり世界一を目指していて、そこはまったく変わっていません。そういう意味で世界一になるためにはもちろん通らなければいけない道だと思いますし、勝たなきゃいけない選手もたくさんいます。そういう感覚で捉えていますね。
 ただ、単にアメリカに戻りたいということではありません。すべては目標、意識がどこにあるかだと思います。2019年も日本でやりますけど、世界一になるという目標は変わっていませんから、いつというのはわからないですけど、自分のなかでしかるべき時期というのはあると思います」
 その“しかるべき時期”は、どのタイミングでやってくるのだろうか。2019年シーズンが大きなヒントとなるにちがいない。