キャロウェイスペシャルトーク トム・ワトソン × 深堀圭一郎 × 丸山茂樹(後編)「私もいま若かったら、若者たちと同じように60度を使うと思うよ」

トム・ワトソンと深堀圭一郎プロ、丸山茂樹プロの「ウェッジ」トーク、後半戦です。前編で語っていたように、ワトソンはいまも56度のサンドウェッジを愛用していますが、現代の若いプレーヤーたちのショートゲームやクラブセッティングについては、どのように見ているのでしょうか。深堀プロ、丸山プロの経験談も、必見です。

深堀 サンドウェッジのロフトは56度ということですが、コースがどんどん変化してきているなかで、たとえば60度などを使ったりはしなかったのですか。

ワトソン ロフト60度のものをトライしたこともあったよ。でも、ひどかった(笑)。

丸山 僕も(笑)。

ワトソン 56度との違いが大きすぎて、ショットが不安定になってしまったんだ。私の場合ずっと、やわらかくボールを上げるときは、56度のフェースを開くことでロフトを増やし、アウトサイドにバックスイングを上げて打ってきた。でも最近の若い選手のなかには、60度のウェッジのフェースをスクエアに構え、インサイドからシンプルに振って、止まる球を打つ者もいる。それをできればいいんだろうけど、そのやり方は私にはできないんだ。

深堀 みんな、シンプルになっているんですね。余計なことをしないで、ロフトでボールを上げる。

丸山 だって、若い選手はみんな、「フェースを開きたくない」と言いますからね。

ワトソン 私は、たとえばラフに入ったときやチップショットをする場合、56度のウェッジのフェースを開いて、20度ほどオープンに構える。ショットによっては、もう少しクローズド気味に。低い球筋で飛距離を出したい場合はローテーションさせるし、手首を返さずに高い弾道で打ったりもする。長いゴルフ人生のなかで学んできたことだね。いまのプレーヤーたちは60度があるので楽なんだろう。ツアーでいいアプローチをする選手に、「いまのは60度?」と聞くと、「そう」と返ってくる。ショートサイドからのアプローチが楽になるのだと思う。バンカーからも高い球が出るし。

丸山 僕も同じです。やっぱり、子どものころの自分の感性を押し殺してまで、そういうことをする必要はないというのが、トムさんの意見なんですね。われわれは、番手の間の中途半端な距離で、フェースを開いたり、フェードで打ったり、シャットに使って飛ばしたり、ということをやっていた時代。最初にギャップウェッジが出てきたときは、ちょっと焦ったくらいですからね。「こんなに便利なものがあるのか」と。だから、ウェッジ4本時代とかになってきたいまのように、決まったロフトのものを決まったヤーデージで打つということが体に馴染まないんですよね。トムさんは、60度のクラブを使ったらひどかったと言っていましたが、僕もそうです。とんでもない球が出ます。いきなり上に上がっちゃって、全然、弾道が目線に合ってこないんです。

ワトソン ただ、私が若かったら同じことをすると思うよ。若者たちはクロスハンドグリップでパッティングを始め、赤ん坊のときから60度のウェッジを使いはじめる。それで育つことは、決して悪いことではない。クラブフェースの向きやスイングスピードをアジャストする必要性を排除でき、条件に合ったクラブに持ち替えてフルショットすればいいからね。ただ、持てるクラブは14本。たとえばピッチングのほか、ロフト角の異なる3本のウェッジを備えて4本ウェッジで臨む場合、何か1本減らさなければならない。かつてトム・カイトが、ウェッジを1本増やすために4番アイアンを抜いたのを覚えている。その隙間を補うため、彼は5番のロフト角を少し立て、3番アイアンを少し寝かせたんだ。

深堀 よくアマチュアの方に、ウェッジは何度のものにすればいいかと聞かれます。日本では52度と58度のコンビネーションがスタンダードになっていますが、56度をベースにしたほうが楽ですよとアドバイスすることがあります。60度はあまりアマチュアの人は使わないほうがいいですよ、と。トムさんも、そういう感覚ですか。

ワトソン 私とプレーするアマチュアの方の多くは、60度のものを使っているけれど、あまりうまく使えていないね。飛距離を合わせるのが難しいようだ。私は58度が、中上級者にとってちょうどいい妥協点ではないかと思うよ。いま言われたように、52度と58度とか。私の場合は48度か50度に、56度だけど。私はフルスイングでの飛距離をベースにして、飛距離の間隔がなるべく均等になるようクラブを選んでいる。

丸山 ウェッジのスイングウェイトやフレックスはどうしていますか。

ワトソン スイングウェイトは、だいたいD2かD2.5あたりだね。フレックスは、いまではあまり硬いものは好まない。クラブのフィーリングは、シャフトの硬さが影響する。シャフトが硬すぎると、打感も硬くなりがちだ。私の経験から言うと、硬いシャフトのほうがやわらかいものに比べて、球のバラつきが減り、狙った方向から大きくブレることは少ないかもしれない。ただ、私はやわらかめなシャフトの打感のほうが好きなんだ。私の年齢では、シャフトが硬すぎると、やわらかい、良い打感で打てない。

丸山 僕は真逆です。D0以下で、いまはC9。シャフトはXです。トムさんが言うように打感はやわらかいほうがいいのですが、球がコーンと上に上がるのが好きじゃないんです。高さのコントロールが効くのが、このバランスということ。人ぞれぞれだと思いますが。

深堀 僕もマル(丸山プロ)と同じくらいですね。D0でX。長さはマルより、半インチ長くしています。僕も、中弾道で球の高さと回転を安定させたいんです。でも、ロジャー(クリーブランド)さんからは、「やわらかいシャフトを使え」と、これまで何度も言われています。「このスペックでつくってください」とお願いすると、必ずやわらかいスペックのシャフトでウェッジができ上がってくるんですよ。もちろん、自分でもそれにトライしてみましたが、やっぱり感覚が合わなくて、結局、戻しています。欧米の人は、やわらかいシャフトでヘッドを動かして球をコントロールしろと言うんですけど、どうしてもそれには慣れないです。自分の感覚というのはやっぱり変えたくないので、そこだけはまだ変えていません。

丸山 欧米の人は感覚が違うんですかね? ずっと軽いバランスでやっているので、重いものだと、全然フィーリングが出ないんです。でも、僕も昔はC7でしたから、だんだん歳を重ねてきて重くはなってきているんです。やっぱり年齢が上がって、フィーリングが少し悪くなってきているのもあります。もしかしたら今後、D0とかD1になる可能性もありますね。

ワトソン 2人とも言っているように、弾道が最重要ということだね。自分のイメージ通りの球筋を出せるクラブを見つけること。上がりすぎても、低すぎてもダメで、球のバラつきをなくす。ノーマルなスイングで、決まった弾道を常に打てることが大切なんだよね。

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