「責任があるからこそ、楽しむことを忘れてはいけない」上田桃子

CALLAWAY STAFF PLAYER MOMOKO UEDA
キャロウェイスタッフプレーヤー 上田桃子

2016年、30歳という一つの節目の年齢を迎える上田桃子。若手でもなく、ベテランでもなく、まさに日本の中心選手として、新たなシーズンにどんな決意を持って挑むのだろうか。

「いまの自分なら勝てると思う」上田桃子

一昨年は、賞金ランキングは10位ながら、優勝2回。昨年は優勝こそなかったものの、全30試合出場でトップ10が半分以上の16回(一昨年は9回)を記録し、賞金ランキング7位。一般的に見れば、いずれも充分に立派な数字だ。しかし、当の上田桃子は納得していない。

「一昨年は2勝できましたけど、逆に安定性に欠けた1年でしたし、逆に去年は、1勝もできなくて安定性は上がったという1年。その2年間の両方とも、自分のなかで充実感というのは低かったです。やっぱり勝つことも大事ですし、安定した結果を残すことも大事ですから。とくに昨年は、年間10勝という大きな目標を掲げていただけに、優勝争いを多くできたなかで1勝もできなかったことは本当に悔しいですし、何がそんなに足りなかったんだろうと、1年間すごく考えさせられました」

 たくさん考えた先に、何があったのか? 「結果的に勝てていないのだから、これだと確信を持てるものではない」と彼女は断りを入れながら、それでもやはり、自分に必要なものは見えてきたという。
「自分のペースじゃなかったというところが大きかったかなと思いますね。目標が大きかったので、自分のペース以上のピッチで練習しなければいけない、トレーニングをしなければいけないとなって、どこかしら焦りがあったのかなと。自分のペースでやれれば、もう少し自信が持てたのかなと思うのですが、いつも足りないという緊張感、不安のなかで戦っていたので」
 上田桃子は、日本人プレーヤーとしての誇り、責任感を人一倍、心に強く持っている1人だ。だが、それが皮肉にも彼女から自信を削り取り、焦りを植え付けてしまったのかもしれない。ここ数年、日本女子ツアーを席巻する海外勢の強さ。それに対する忸怩たる思いが、大きな目標を掲げさせ、本来の上田桃子とは相いれないものを強いた。

「自分のペースを崩さずに私のやり方で、日本人代表として責任ある結果と行動にしていければ、それが自分のベストだなと思うのですが、去年はそれ以上のことをしたいというか、しないといけないという責任感が、逆に重圧に変わっていた部分もあると思います。責任ばかりを負ってしまうと、なかなかチャレンジすることも難しくなってしまいます。純粋にゴルフを楽しむというところも大事にしていかないと、本来自分がやりたいゴルフもできなくなってしまうなと」
「いまの自分なら勝てると思う」上田桃子

今年のテーマは、38試合の一瞬一瞬に「全力」を尽くすこと

とはいえ、これも一つの経験だ。自身で体験したことから、必要なものを残し、不必要なものを削ぎ落として、未来に生かしていければいい。

「悔しさもありつつ、高い目標だったからこそ、1年間安定した結果が残せたシーズンでもあったと思うので、悪いことばかりではない1年だったと思います。一昨年と去年のいいところを自分でちゃんとピックしながら戦っていけると、納得した1年になるかなと。 自分のなかで責任があるからこそ、よりゴルフを楽しむことを忘れちゃいけないなというのは去年の経験をふまえて感じていることで、それを今年はプラスに持っていきたいなと思います。しっかりと練習のときに責任感を感じながら、試合になったら今年はもう少し楽しむことが大事かなと思いますね」

 そのうえで、2016年の上田桃子が目指すところとは何か。尋ねてみたところ、昨年とは一転、「具体的な目標はない」そうだ。

「今年やっていこうと決めたテーマは、『全力』。やっぱり足元が見えなくなってしまうほどの大きすぎる目標だと、自分がいまどこにいるのかというのが見えなくなってしまいますし、目標が低すぎても楽な道を選んでしまいがちになります。そこのバランスはすごく難しいなと年々感じているのですが、でも一瞬一瞬を全力で向き合うことができれば、そのときのベストを尽くせたというところで、自分のなかで充実感が出てきて、それがまた自信につながるかなというふうに思います。全力で行けたら、自分自身がいちばん納得できるかなと思いますし、きっと全力でやっていると、いろんなバランスも保ててくるんじゃないかなと。そして、目の前の試合をどれだけ大事にできたかということが、38試合を終わったときに答えとして出てくると思うので、1試合1試合、全力を尽くしていきたいなと思います」

「いまの自分なら勝てると思う」上田桃子

振り返れば、2005年のデビューから今年で12年目。2016年6月には30歳となって、新たな年代を迎える。

「本当に20代は、山あり谷ありでいろんなことが経験できた10年間でした。初優勝もそうですし、アメリカに行って苦しい思いもしました。でも30代は、それ以上の山あり谷ありが待っていると思います。逆に山ばかりではなく、しっかり谷とも向き合いながら、この10年間を過ごしたいと思います。いま女子ツアーは若年化していますし、でも先輩たちが本当にがんばってくれているので、私もまだ先輩と後輩がいるちょうど間の年代。まだまだ先輩たちの背中を追いかけながら、年を理由にせずに頑張れる年齢だなと思います。自分の場合、キャロウェイをはじめとして、周りのサポートがしっかりしている状況でもあるので、そういう人たちの力を借りながらも、まだまだ若い子たちには元気と気持ちは負けないと思うので、年齢関係なく戦っていきたいですね。でもそんななかで、しいて言うとすれば、やっぱり経験を生かしたゴルフをしていきたいと思います。経験があるからこそ、若い子たちにないものも見せられるんじゃないかなと思いますし、私にしか見せられないゴルフが必ずあると。そこをしっかり、ゴルフの魅力とともに見てもらえるように、自分らしいパフォーマンスをしたいなと思います」

上田桃子
出身地:熊本県熊本市
生年月日:1986年6月15日
出身校:東海大学付属第二高等学校(熊本県)
使用クラブ