「自分のなかに、前半戦しか出られないイメージはありません」佐伯三貴

CALLAWAY STAFF PLAYER MIKI SAIKI
スタッフプレーヤーインタビュー 佐伯三貴

「自分のなかに、前半戦しか出られないイメージはありません」

2017年シーズン、シード権こそ失ったが、土壇場で準シードに滑り込んだところは、やはり佐伯三貴の底力と言えるのではないだろうか。2018年こそは、その力を、2013年以来の優勝に振り向ける。

 おどけたとも、呆れたともとれる笑みとともに、佐伯三貴は、「『遅いよ』って感じですけどね」と言った。
 2017年シーズンの終盤も終盤。伊藤園レディスゴルフトーナメントで9位タイ、自身最終戦となった大王製紙エリエールレディスオープンで12位タイと、2戦続けて好位でフィニッシュし、賞金ランキングを53位にまで引き上げた。50位までに与えられるシード権にこそ手が届かなかったが、51位から55位に与えられる、いわゆる準シードを獲得。2018年シーズンは、第1回リランキングが行われる、「アース・モンダミンカップ」までの出場権を確保した。
「『普段からやれよ』って思いますよね。『最後にあがくくらいなら、最初からがんばれ』と、ずっと思ってきたんですけど、まさか自分がそうなるとは思っていなかった」
 このころ、当然ながら頭のなかでは、ファイナルQTに行くことも、ちらついていた。
「いろいろ考える時間もあったので、悩みましたね。QTを受けるのか、受けないのか。もしかしたら、今年で終わりかな、とか。でも、QTには本当に行きたくなかった。周りは、もう、『QTに行くんでしょ?』みたいな雰囲気で、身内からも言われていました。その話は軽く受け流して、もう2018年は推薦で出られる試合だけにしようか、とも思ったりして」

 前述の2試合のなかでも、気持ちにかなりの浮き沈みがあったと言う。
「伊藤園レディスゴルフトーナメントは、コースが好きなので、ちょっと上に行けばワンチャンスあるかなと思っていましたし、初日もすごくいいスタート(首位タイ)でした。でも、そこからがあまり良くなかった。一方で、大王製紙エリエールレディスオープンは得意と言えるコースではなかったので、伊藤園レディスゴルフトーナメントが終わった時点で、『ああ、ちょっとダメかな』と思っていました。
 その大王製紙エリエールレディスオープンで、初日に叩いてしまって(4オーバーで85位タイ)。『もう終わったな』と思いました。その日は悔しすぎて、眠れませんでしたね。
 でも、2日目は、ぎりぎり予選を通ったこと(この日5アンダーを出して42位タイ)で、まだチャンスはあるなと思いました。寝不足でしたけど、試合に緊張して入れば、もう眠気とかもまったくありませんでした。残る決勝ラウンドの2日間もすごくいいゴルフができたので(ともに4アンダー)、『これで落ちたらしようがないでしょ』と思っていましたね。幸いにも2018年からルールが変わって、準シードという形でQTにも行かなくて済んで、そういう部分ではまだ私はツイているのかなと思いました。もちろん最後は、55位以内を目指していたのではなく、シードに入りたいと思っていたんですけどね」

いままでで、いちばんいいスイングができている

 結果として、2018年シーズン前半の“仕事場”は、なんとか得られた。しかし、全体的に見れば、2017年は「苦しかった」としか言えないシーズンだった。予選落ちは9回に及び、棄権も2回。トップ10は3回にとどまった。「前半は、けっこう体に痛いところが多くて、ストレスフリーで臨める試合が、なかなかなかった。ようやく秋口くらいに体も良くなってきたのですが、もう30を過ぎたら、痛いという話しかない(笑)」と冗談めかしたが、体調と同じくらいに戸惑ったのが、調子と結果のズレだ。
「手応えは感じつつも、それが噛み合わなかったですね。練習場ではすごく良くて、なんで試合になって噛み合わないんだろうと。歯痒い感じでした。不安は、序盤からずっとありました。けっこういい感じできているのに、スコアも成績も良くなかったので。周りの人からも、すごく言われましたし。みんなが気を遣ったり、知り合いの人に会えば、『今年は元気ないね』とか言われたり。自分のなかではそうでもないのに、言われたことで、『ああ、そうなのかな』と思ったりしたことも、けっこうありましたね」

 噛み合わなかった原因は、もうわかっている。プレーの流れをつくるショートゲームでミスがあった。
「グリーンを外したときに、アプローチでたとえば3mに寄せたとして、いままでなら、その3mが入っていました。入らないのは、やっぱり自分の気持ちのなかで余裕がないのかなと思います。以前は、もう余裕しかないので、ストロークもしやすかったのですが、いまは外しちゃいけないなど、いろいろな邪念も入ってきます。歳を重ねれば重ねるほど、いいこともありますが、いままでさまざまな経験をしてきたものが邪魔をしてしまったりもします」
 ただ、その一方でロングゲームは、いま最高潮の状態にあると言う。それが、佐伯三貴の2018年を後押ししてくれる。
 「以前よりは、自分の体に負担のないようなスイングはできていると思いますし、いままで自分がやってきて、本当にいちばんいいスイングができているのではないかというシーズンでした。だから、このオフにパッティング、ショートゲームのスキルをもうちょっと上げていけば、まだまだ行けるんじゃないかなと思っています。スイングであまりチェンジすることがないというのは、2017年よりはすごく楽な感じですね」
 気持ちが、さまざまに揺れ動かざるを得なかった2017年だったが、それはもう終わった話。いまの彼女は、すでに切り替えを終えている。2018年に向けて、“リランキングでフルシーズンを戦えるようにする”といった小さな目標は、頭のなかに微塵もない。自信を持つことの重要性を、痛いほど彼女は感じている。

「前半戦しか出られないというイメージは、自分のなかではありません。最後まで行けると思っているので。そうなったときに考えればいいという話です。スケジューリングや調整も、年間を通して戦えるように、という考え方でやります。大丈夫だろうと自分を信じて、やろうかなと。
 自信をなくすのも、自信をつけるのも自分だと思います。いくら周りが評価しても、自分が自分を評価できなかったら、自信にもならない。いくら周りに否定されても、自分に自信があれば、それでいいと思いますし、そこはやっぱり自分次第。自信を持てるように、普段の生活だったり、練習だったり、トレーニングだったりをして、結果そうなっていくのではないかなと私は思います。
 目標は、やっぱり優勝したいですね。前から言っているように、契約がキャロウェイに代わって、まだ優勝していません。それをするまでは、まだまだやめられないなと思っているんです」 

佐伯三貴
出身地:広島県
生年月日:1984年9月22日

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