「 自分にある“余計なもの”を取り払いたい」深堀圭一郎

CALLAWAY STAFF PLAYER KEIICHIRO FUKABORI
スタッフプレーヤーインタビュー 深堀圭一郎

親子ほど世代の離れた者が、同じフィールドで戦うゴルフ。だからこそ、年齢を言い訳にする気持ちなど、さらさらない。深堀圭一郎は貪欲に、さらなる進化を自分に課す。

深堀圭一郎インタビュー

 変わることのない、爽やかなルックス、スタイリッシュな出で立ち。深堀圭一郎が今年、4度目の年男を迎えたことは、にわかには信じがたい。
「1992年にツアープレーヤーになって、今年で25年目ですか。でも、これが20年前だったら、私みたいな体、私みたいな選手がここまでやれたかというと、たぶん厳しかったと思います。道具の進歩がすごいですし、トレーニングなど、ほかにもプラスアルファのものが自分よりも前に進んでいってくれて、私の落ちる部分を引き上げてくれる、一緒に連れていってくれるからです。25年目を迎えるシーズンに、『今年もまたやろう!』という気持ちが強くあるのも、そのおかげだと思っています。これまでは、『しようがないよ、年なんだから』といった言葉で片付けられてしまったものが、いまは、ほかのもので助けてもらっている。『まだ48歳』と、普通に言えるんですよ」

だが、人間、不老不死ではいられないし、積み重ねてきた年齢の影響をまったく意識しないと言ったら、それはウソになる。昨年の開幕戦では、こんなことがあったという。
「一緒に回っていて、自分が打ったボールとあまりに距離が離れてしまう選手がいて、自分のなかの感覚とのズレに戸惑いが出てしまったんです。いままでだったら、このくらいのショットを打てば、これくらいの距離のロスで、このくらいの幅に自分がいるだろうなと思っているところに、1番手分も2番手分も先に行かれてしまった。しかも、こうやっていけば今年は戦えるだろうという練習なり、トレーニングなりをオフにしっかりやってきて、確信を持ってシーズンに入って、そう感じたのだから、なおさらです。
 一緒に回ったその選手が飛ばすということもあるのでしょうが、こんな感覚は、以前はありませんでした。もしそう感じても、それに追いつくように、自分の気持ちのなかでちょっとアクセルを踏んだりすれば、何も気にならずに自分のスタイルで行けていたわけです。でも、それとはちょっと違うものを感じる瞬間が、あのときにはありました」
 変化してきているのは、自分だけではない。
スクリーンショット 2016-04-13 18.49.34

「年齢的にスイングが自然と変わってきているのもありますが、いま、時代が変わってきていて、本当にパワフルな選手が増えてきています。自分1人で回っていれば、自分のスタイルで最後まで行けるのですが、トーナメントではあと2人と一緒に回りますし、日によって選手も変わります。そのなかで、これまでとは違うものが目に入ってきてしまうことを、いままで以上にどう理解していけるか」

負けたくない気持ちと一緒にやれる新しい位置

 ただ、そう語る姿に、不思議と悲壮感とかいったものは感じられない。
「昨年は予選落ちが多かった(2014年の4回に対し、12回)ですが、開幕早々の自分の感覚とのギャップを埋めなければいけなかったし、ちょっと新しく生まれ変わりたいという気持ちが強くて、それで試行錯誤していたということもありました。そんな段階でしたから、満足はしていませんが、次にはつながったというシーズンだったと思います。6月ぐらいでしょうか、そのときにやっと新しいものが見えてきたんです。いまでもまだ、半ばにも到達していないですけどね」
むしろ表情は、違う自分をつくり上げる過程に楽しみを覚えているようにも映る。

深堀プロ伝授! スライスが止まらないときの対処方法

「これまでは、歯を食いしばって、スイングのキレや思い切りといったもので打っていけば、気持ちも負けないで、いいゲーム、いいスコアをつくっていけました。ですが、いまは、そうじゃない部分も兼ね備えた、これからの年齢に向かってできるゴルフをどうつくっていくか。それは、楽をするということでもないのですが、18ホール、72ホール、1年間のツアーを戦っていくなかで、自分のスイングに迷うことなく、自信を持って振れるということ。振りやすいスイング、やりやすいスイングにして、ずっと熱くなっていなくても、集中するべきところだけ集中してやるというようなスタイルです。もちろんそのなかで、負けたくないという気持ちは、いつまでも持ちつづけています。そういう気持ちと一緒にやれる、新しい位置を探しているということです」
 それは決して、後退ではない。いまの自分を取り巻くものはすべて受け入れつつ、それが関係ないくらいの場所にまで、自分を高めていくということだ。

深堀圭一郎インタビュー

「昨年から見えてきたものにプラスして、今年はさらにいいものが出てほしいなと思っています。そのために昨シーズンが終わってから、自分のなかで、もっといい意味で簡単にできないかということを考えて、ユーティリティに入れていたシャフトをアイアンに入れてトライしたりしています。自分で振りやすい、気持ちいい、そのなかでも試合で戦えるものにどうシフトできるかということに思い切りチャレンジしているところです。
また、2011年に左足裏のケガの手術をして以来、ふくらはぎのトレーニングをあまりしていませんでした。ドクターからは、もう大丈夫だからやっていいと言われていたのですが、ただ自分がちょっと恐怖心というか、また同じ痛みが戻ってくるのが嫌だったので。でも今年のオフ、もういいかと思って、かなり始めていて、ふくらはぎが以前のようにしっかりしてきました。加えて、いままでにない形のトレーニングも入れたりして楽しみながら、自分の感覚とのギャップがあまり大きくならないように、考えてやっています」
それもこれも、すべては一つの目的があるからこそだ。

深堀圭一郎インタビュー

「最後の優勝(2005年のANAオープン)から10年経ちましたか。長いですね。でも、やっぱり、最後の数ホールを積み重ねて行って、優勝が決まる瞬間の喜びというか、自分のなかの達成感は、何ものにも表現できないものです。あれくらい本当に喜べる瞬間はないですから。その瞬間を、また味わいたい。もちろん、自分がそこにまた戻っていけるということを普通に思っているから、いまもやっているんです。ただ試合に出ているだけだとは思っていませんから。『この年齢で……』といったことを自分で言わないで、またレギュラーツアーで優勝できる自分になりたいですね。“余計なもの”を取り払いたい」
 これまでとは違う、新しい深堀圭一郎。大いに期待していいはずだ。

深堀圭一郎
出身地:東京都
生年月日:1968年10月09日
出身校:明治大学
使用クラブ