「調子が悪いなら悪いで、そんな自分も受け入れる」藤田光里

CALLAWAY STAFF PLAYER HIKARI FUJITA
キャロウェイスタッフプレーヤー 藤田光里

初優勝よりも2勝目のほうが難しいと、よく言われる。だが、いまの藤田光里なら大丈夫だ。彼女がこれまでのプロ生活3年で培ってきたものは、周りが想像する以上に大きい。

スタッフプレーヤーインタビュー 藤田光里

跳躍すると同時に、目いっぱい伸ばした両手と両足。うれしさと同時に、全身を使って呪縛からの解放をも表現しているかのようだった。昨年4月のフジサンケイレディスクラシック。藤田光里がツアーフル参戦2年目で達成した初優勝のシーンを、いまも鮮明に覚えている方は多いことだろう。
だが、現在の彼女からは、喜びの記憶よりも、どちらかと言えば、その後についての悔しさに近い思いが、先に口をついて出てくる。
「1勝したあと、また優勝したかったんですが、初優勝したことによって、次の目標を何にするかということが明確にならないまま、10試合ほどを過ごしてしまいました。そこは、すごくもったいなかったなと思います」
 どこを目指せばいいかわからなくなったのは、2014年終盤戦での苦戦が元になっている。全34試合に出場したこの年、後半の17戦中、8戦で予選を通過できなかった。しかも、その予選落ちのほとんど(7戦)は、最後の10戦のなかで喫したものだ。
「すごく調子が悪かったので、2014年が終わったときに、初優勝というものが自分のなかで、遠く感じる目標になっていました。5年後になるかもしれない、10年かかるかもしれないと。その翌年に、あれほど早く優勝できるとは思っていませんでした。だから、そのとても大きな目標を達成したことによって、モチベーション的に難しくなりました」
 とは言いつつ、優勝後のシーズンに反省ばかりというわけでもない。2勝目こそできなかったが、昨年の後半17戦では、予選落ちは4回。終盤10戦で見れば、3日目以降に進めなかったのは1回のみで、トップ10を1回、25位以内を半分の計5回数えたところに、一定の満足感もある。

スタッフプレーヤーインタビュー 藤田光里

「一昨年に1シーズンを経験していたことで、1年の流れがよくわかっていました。たしかに、すごくいい成績という試合はありませんでしたが、後半戦は私としては安定したプレーができていたかなと思います。
 けっこう得意なコースが前半に多いという理由もありますが、2014年はやはり、1年間のペース配分がわからず、結果、後半戦でかなりバタバタしてしまいました。ご飯が食べられないという時期もありました。でも、昨年はそういうこともなく、ホテルを渡り歩く生活にも慣れて、普通に過ごすことができました。
うまくいかないときに、切り替える方法がわかったというのも大きいですね。私の場合のそれは、ゴルフを忘れること。もちろん練習もしますが、今日はこれだけやったら終わりにするとか、途中でやめてみるとか、ちゃんとメリハリをつけるということです。
たとえば、その日のラウンドで8番アイアンだけ曲がっていたということなら、8番アイアンの曲がりを治す調整だけやる。ティーショットのミスが続いているとき、私はスタンスの向きが悪くなっていることが多いのですが、その確認さえできたら、わずかな球数でもそれだけで終わりにするというふうに」

2勝目ができたときの心構えは、もうしています

 ゴルフがうまくいかないとき、多くの人は、練習あるのみと思うことだろう。彼女も以前は、調子が悪くなると、ひたすらボールを打つということを繰り返していた。
「悩んで悩んで、夜遅く、真っ暗になるまでやっていました。でも、次の日の朝も結局、『昨日は、何もわからなかったな』という感じでスタートするわけです。そうなってしまうのならもう、完璧にしようとするのではなく、わからないならわからないままで、今日の私にはこれはできないから帰ろう、というふうにやってみようと。『悩んでいる』と言葉にすればするほど、もっと悩んでしまう気もしていたので、気楽に行こう、悪いなら悪いで、その自分を受け入れようと思ったんです。自分が悪くても追い込まなくていいんだと思ったら、すごく気持ちが楽になりました。じつは優勝した週も、そうでした。練習ラウンドでどうしても曲がってしまうアイアンがあって、いくら打っても曲がっていたので、もうやめようと、ホテルに帰り、けっこうきっぱりとした気持ちで試合に臨んだんです」

スタッフプレーヤーインタビュー 藤田光里

1年の進め方を学び、そのままの自分と向き合うことも覚えた。これらによって、成績と同時に、また別の2014年との違いも生まれた。
「アマチュアのときは、ゴルフをプレーすることは同世代の子たちとの戦いというイメージでしたが、プロになって賞金がどうとかいったことを考えたとき、やっぱりはっきりと仕事になりました。ただ一昨年は、それを全然楽しむことができませんでした。昨年は、どう楽しめるかなと、自分のなかで試行錯誤しながらやってみて、それほど悪くはない1年でした。それをまた今シーズンに生かせたらいいかなと思っています」
さまざまな経験を積み重ね、勝利の味も知ったうえに、プロゴルファーという自らの職業に対する心の余裕も身に着けつつある。そんななかで迎える新たなシーズンは、やはり、「ちょっと楽しみ」だという。
「2勝目を挙げなければいけないというプレッシャーがあり、また昨年初優勝したということで、周りから期待されることも多いと思います。だから、なかなかうまく回っていかないこともあるかもしれません。でもいまは、それもどれだけ楽しめるかなというふうに、前向きな気持ちのほうが大きいですね。

スタッフプレーヤーインタビュー 藤田光里

昨年は初めて、LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップに出られて、すごくうれしかったですし、達成感がありました。だから今年も、ひとまず2勝目というのを目標にし、もし勝てなかったとしても常に上位でいられるようにして賞金ランキング25位に入り、また最終戦に行けたらいいなと思います」
 次に勝ったあとには、もう迷うこともないはずだ。
「もし2勝目ができたら、その次はメジャーで勝ちたいというふうになってくるのかなと、心構えはしています。とにかく、2勝目という壁を破らないと先には進めないので、そこを目指してがんばります」

藤田光里
出身地:北海道札幌市
生年月日:1994年9月26日
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