「ここで戦えることに感謝して、一打一打、集中してやっていきたい」【2018.4.4】

CALLAWAY STAFF PLAYER ATOMU SHIGENAGA
スタッフプレーヤーインタビュー
重永亜斗夢

「ここで戦えることに感謝して、一打一打、集中してやっていきたい」

順調に階段を上ってきたこれまでとは違い、重永亜斗夢の2017年は、結果だけ見れば悪くないものの、納得のいかないシーズンとなった。2018年こそ、優勝という目標を達成するべく、いま一度、足下を見つめ直す。

 使い古された言葉だが、人間は“忘れる”生き物だ。いい意味でも、悪い意味でも。嫌なことがあったとしても、一晩寝れば解決していたりするし、逆に、絶対心に留めておかなければいけないと誓ったことが、簡単に頭から消え去ったりもする。
 2017年シーズンを前に重永亜斗夢は、2016年から、「“自分のゴルフ”を変えてはいけないことを学びました」と語っていた。「今年は、自分のゴルフをしていって、すべてはそれからですよね。その結果、優勝につながれば」と。“自分のゴルフ”とは、「グリーンのまんなかに打っていって、そこから入れるか、寄せるかという、手堅いゴルフ」のこと。自ら思うだけでなく、親しくしてもらっている大先輩、手嶋多一プロも、「すごく言い聞かせてくれていた」そうだ。
 しかし、2015年8位タイ、2016年4位タイと得意にしている国内開幕戦、「東建ホームメイトカップ」で、そのスローガンは早くもどこかに行きつつあった。
「2016年に気づいたことを、もちろん継続するつもりでした。でも、毎年順調に成績が上がってきていて、2017年は予選もほとんど落ちず、安定して成績を残せた。そうすると、やっぱり優勝という目標が出てくるし、優勝するためには、やっぱり、行けるときに攻めなくちゃいけないと思ったんです。それなりにオフもがんばったし、調子も悪くなかったので、行けると奮い立たせて、そこしか見ていなかった。去年も言っていましたけど、勝手に焦っていたんですね。優勝スコアって、だいたいこのくらいだろうとわかります。そこに目標設定すると、ミスしたときなどに無理をする。だから、悪循環なんです」
 結果は、73位タイで予選落ちだった。
「ショックでした。初めて大会のポスターにも載せていただいたんです。これは頑張らなければいけないなと。でも全然、自分のゴルフができませんでした」


 その後も低空飛行が続いた。シンガポールでの開幕戦から10戦して、予選落ちは半分の5回を数え、決勝ラウンドに進んでも順位は振るわず、トップ10はわずかに1回。2016年は、最初の10戦でトップ10に3回入り、予選落ちは2回のみだったから大きな違いだ。
「毎年、前半で稼げていたのに、2017年はつまずいてしまって、自分のなかで、『今年で終わりなのかな』と、ちょっと思っていました。予選落ちしたときは、『もう今年はダメだ、しゃあない、しゃあない』と。元に戻そうと思いましたが、もう遅いですよね。気持ちも焦っているので、空回りするわけです」
 かといって、このまま何もせずに終わるわけにはいかない。転機のきっかけは、身近にあった。
「熊本の後輩に秋吉(翔太)というのがいて、パッティングがとても下手だったんですが、九州のシニアプロの方から教えてもらって、すごく良くなって、2017年は10試合くらいで初シードを決めちゃったんです。それで、その人にちょっと話を聞きにいって、いいヒントをいただいて、自分なりに考えてパッティングスタイルを変えました。そうしたら、芥屋(RIZAP KBCオーガスタ)でトップ10(9位タイ)に入って、その後、また3試合予選落ちをしましたけど、トップ杯東海クラシックで再びトップ10(9位タイ)に入って、『あ、なんか、いけそうだな』と」

『今年はQTに行くんだな』と思っていました

 具体的に、パッティングのどんなところを変えたのだろうか。
「いままではゆっくり上げて、ゆっくり打つ、大きく上げて同じ振り幅で打つと意識していました。でも、人からは緩んでいるように見えて、あまりにタッチを意識しすぎて、ラインに乗っていないと。インパクトだけを考えろと言われました。元々は自分も、早くポンポン打つタイプだったので、ちょっと元に戻したら、すごくラインに乗って、けっこう入りだしたんです。パッティングが入ると、ショットにも余裕が出る。グリーンに乗ればいいやという形になるので、すごく回りやすくなって」

 それはつまり、“自分のゴルフ”をようやく取り戻したということなのだろう。終盤の9戦で予選を6回通過し、トップ杯東海クラシックも含めて、トップ10は2回、20位以内も2回記録した。なかでもハイライトは、ブリヂストンオープン。悪天候で2日間競技となるなか、3位タイフィニッシュを果たした。賞金は半分しか加算されなかったが、シード権獲得に大きく前進。最終的に賞金ランキングは前年の40位から下がったものの、49位で2018年のフルシードをしっかり守った。
 それでも、口からついて出てくるのは、自虐の弁ばかりだ。
「ブリヂストンオープンも、ちょっと優勝を意識した瞬間に、ゴルフがガラッと変わったんですよね。2日目にバーディー、バーディーでスタートして、 4ホール目でも取って、一気にトップに上がって、ワンチャンスあると思いました。大会が2日間になろうとも、とにかく優勝すればいい、と。でも結局、そこからバーディーを1個も取れませんでした。けっこうチャンスについていたんですけどね。
2017年は予選落ちが11回。2016年は6試合。波がすごかったですね。平均スコアもここ4年間でいちばん悪い。よくシードを取れましたよね。『今年はQTに行くんだな』と思っていました。シード4年目でしたが、そのなかで、いちばん苦しかった。いろいろな面で」
 もちろん、2年続けて苦しみを味わいたくはない。その意味で、2017年の重永には、もう一つ、大きな助言があった。子どものころから、そのプレースタイルが好きだったという田中秀道プロと、シーズン終了後に会食したときのことだ。

 「もう半分、説教でした。『今日は、こういう日なんだ。仕方ないな』と思うのはダメだよね、という話です。『その言葉は、お前のなかで逃げになるんじゃないか? 仕方ないで済ませるから、いまの成績なんじゃない? ポテンシャル的には何勝もしていておかしくないのに、俺はそれが納得いかない。そこで満足するような選手になってもらいたくないし、現にお前はなっているんじゃないか』と」
 憧れの人の言葉は、やっぱり響くものがある。
「日本のピラミッドの頂点のところでゴルフができていること、ここで戦えることに感謝し、大事にしながら、一打一打、集中してやっていきたいと思いました。慣れてきている部分もありますから、気持ちをリセットして。自分がちゃんとやっていれば、いろんな邪念も入ってこないでしょうし」
 ただ、だからといってそれは、勝つことを考えないという意味ではない。
「今年の目標はもちろん、優勝ですよ。去年のことも踏まえて優勝したい。去年のことからちゃんと勉強して」
 そう、考えて、学習するのも人間の大きな能力の1つ。うまくいくまで、何度だって学ぶことができる。

重永亜斗夢
出身地:熊本県
生年月日:1988年9月14日
出身校:日本大学

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