スタッフプレーヤーのスペシャルトーク 深堀圭一郎×藤田光里 「プロゴルファーというお仕事」

今回は、深堀圭一郎プロと藤田光里プロの対談をお届けします。今年、プロ生活26年目を迎えた深堀プロに対して、藤田プロはプロテストに合格した2013年8月から、ちょうど4年。経験年数に違いのある2人は、いま、プロゴルファーという職業をどんなふうに捉えているのでしょうか。賞金のことや、人に見られる立場であることについてなどなど、誰もが気になるところを、たっぷりと語ってもらいました。

深堀×藤田 対談

「このパットを入れたら、いくら」なんて考えてないですよ

深堀圭一郎プロ(以下:深堀) 光里ちゃんは、プロとしての自覚というか、それまで一つのスポーツだったのが、プロになって、いきなり仕事になったということに関しては、いまどんな思いがあるの?
藤田光里プロ(以下:藤田) そういう感覚は、つい最近になって、そうなんだなと思いはじめました。とくに最初の1、2年は、あまり思っていなくて。
深堀 プロゴルファーって、お金を稼ぐということでびっくりするよね。賞金もそうだし、メーカーさんやスポンサーさんなどとの契約もある。なぜ、名前を書いてお互いに握手した瞬間、対価が発生するのか。僕は最初、いちばんそれにびっくりした。プロだから、当たり前といえば当たり前だけど。
藤田 私はびっくりじゃなくて、なんだか重たかったです。それまでは、楽しいというか、気ままな感じでゴルフをやっていたのに、そうじゃなくなるわけですから。
深堀 賞金は、どんなふうに感じる? 仕事として働いた対価という感じはあるのかな?
深堀×藤田 対談

藤田 自分で管理していないですし、目の前に出るわけでもないですから、あまり労働に対する対価という感じはないですね。
深堀 試合が終わって、毎週月曜日に口座を見にいくわけじゃないからね。
藤田 私、1回も見たことがないんですよ。LPGAの記録で、試合ごとの賞金額とか、出るじゃないですか。それを見て、「おーっ」と思うところはありますけど、実際にここでこう頑張ったから、はい、いくらでした、というのはあまり感じたことはないです。
深堀 見たほうがいいのか、見ないほうが幸せなのか、わからないよね。でも、僕の周りでも、頑張って優勝したときなどに口座を見ると、「よしっ!」ってなるという選手もいる。昨年、ネスレ(ネスレインビテーショナル 日本プロゴルフマッチプレー選手権レクサス杯)で勝った時松(隆光)なんて、「お前、1億円(優勝賞金)見たか?」って聞いたら、「はいっ」って。それで、気持ちが変わったという人もいるし。
藤田 1億円、見てみたいですね(笑)。
深堀×藤田 対談

深堀 まったく見ないで、やるべきことをやるという人も、もちろんいるだろうし。僕は光里ちゃんと一緒で、今週何位だったからいくら、というのを見るだけかな。それと、よくいろんな人に、「このパットを入れたらいくら、外したらいくら、というのは大変じゃない?」と言われるよね?
藤田 私もあります。でも、そんな場面では、お金のことは考えてないですよ。
深堀 勝つか、負けるかだけだよね。極端に言えば、外しても自分の懐が痛むわけじゃなく、いただける賞金が減るだけだからね。自分の口座から持っていかれるということなら、違ってくるんだろうけれど。
藤田 罰金とかじゃないですからね。
深堀 でも、やっぱりプロは、自分の評価と言う意味での指数としては、賞金がわかりやすいから、とても大事なことだし、自分のキャリアを重ねて、毎年更新していったりすることもできる仕事。そういった可能性を持てる人は、世の中、そんなにいるわけじゃない。光里ちゃんの周りで、「1年間で、何千万円稼ぎました」なんていう人は、なかなかいないでしょう?
藤田 そうですね、ゴルファー以外はないですね。
深堀 それは、自分の努力もそうだけれど、周りの環境からいただいた才能であったりもする。だから、それに対して、どうやってお返しをしていくかといえば、自分の可能性に対してチャレンジしつづけることだよね。

たとえ下のほうの順位でも、頑張らないといけない

深堀 またプロは、1試合の優勝と言う目標はもちろん、次の年につなげていくために、賞金ランクや世界ランキングなど、「足していく力」も必要になる。ある試合で、たとえ下のほうの順位であっても、頑張らないといけない。もちろん、見にきてくれているファンの人たちの目もある。すごく調子が悪くて、決勝ラウンドでインの最終組で回っている(順位が最下位に近い)ときでも、朝、スタートに行ったら、応援してくださる方がいるんだよね。そういうときは、うまくいかないから本当に恥ずかしい。でも、わざわざ来てくださって、「頑張って!」という気持ちを持ってくださることに対して、責任を持ってやらなくちゃいけない。
藤田 予選を通るのが厳しい位置にいるのに、すごく大きい声で応援してもらったときは、私もすごく恥ずかしく感じますね。「なんで、こんな順位でやっているのに、そんなに応援してくれるんだろう?」と思ったり。顔を上げられなくなっちゃいます。申し訳なくて。
深堀 責任といえばプロになって、たとえばクラブも、着ているウェアにしても、みなさんに伝えていくという責任が出てくるよね?
藤田 「クラブセッティングを見て、それを真似して買ったんだよね」という人が、けっこういらっしゃいますよね。ウェアも、真似をしてもらえるように着ようという気遣いを、最近はちょっとずつしはじめています。
深堀 プロの自覚だね。光里ちゃんは、アパレルでは何を大切にしているの?
藤田 イメージです。みなさん、私のことをどういうふうに見ているだろう? と。たとえば、パンツスタイルとスカートと、みなさんどちらが藤田光里らしいですか? というとき、ほとんどの人がスカートのイメージのようなので、そこから外れないようにやっています。今日のスタイルがいちばんいいですね。ニーハイに、ベストに、ポニーテール。落ち着きます。キャップは、その日の朝から落ち着かないですね。昨年、1回だけキャップにしようと思って被ったんですけど、朝、練習のときに、どうしても落ち着かなくて、スタート前に変えました(笑)。
深堀×藤田 対談

深堀 プロ意識がすごく出てきているということだよね。みんなの期待に応えるという意味で。
藤田 試合ではきっと、ゴルフを見にきている人と、プレーヤーを見にきている人がいると思うんです。そのとき、プレーヤーを見にきている人に対して、「あれ? せっかく見にきたのになんか違う」と思わせるのは、どうなのかと。そんなこと考えちゃいけないんですかね?

街では一回も気づかれたことがないんです

深堀 見られるという意味では、プロになって有名になることに対しては、どんな感じ?
藤田 私はちょっと苦手ですね。この仕事をやっている以上、有名にならなければいけないんですけどね。たとえば私が、プライベートでゴルフをしていても、SNSなどで、「○○にいました」とか書かれていて、どんどん拡散して、みんな知っているというのは……。プライベートで行っているのに広がってしまうのは、つらいところですね。
深堀 そうだね。僕の最大の目標は、ゴルフ場で絶大なる人気で、街ではあまり気づかれないという存在。
深堀×藤田 対談

藤田 私は、街では気づかれないですよ。一回も気づかれたことがないんです。私服で歩いていて、1回も声をかけられたことがないんです。
深堀 いやいや、気づかれても声をかけられないオーラが出ているんだと思うよ。
藤田 えー! でも、見られていると思ったことも、1回もないですし。以前、ゴルフ好きな人がいっぱい集まるようなお店に普通に行ったんですが、そこでも誰にも気づかれなかったですよ。
深堀 それはそれで、悲しくないの?
藤田 全然、悲しくはないですよ(笑)。ゴルフ場にいて、ゴルフの恰好をしているのに、名前を間違えられたりするのは、やっぱり嫌ですけど。他のプロの方に間違えられたことが、何度かあります。
深堀 僕は、ゴルフ場じゃなかったら、通常は、あまり声をかけられないかな。でも、声をかけられるのが、最初はくすぐったかったけれど、慣れもあるし、気にしなくなった。ただ、変に勘違いされたりしないように、気にすることはあるけどね。たとえば、僕が光里ちゃんと何かの相談でお茶を飲んでいたとしても、奥さんがたまたまテレビの仕事をやっている人で、相手が明らかに奥さんとは違うわけだから、いろんなことを気にしなくちゃいけない部分がある。考えることが多いから、面倒だなと思うことはあるね。
藤田 私は地元に帰ったりしても、何も気にしないで、普通に人と会いますけどね。
深堀 それがいいと思うよ、堂々としているのが。でも、僕が光里ちゃんを見つけたら、声かけちゃうな。
藤田 そのときは、素通りします(笑)。

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